発酵食品を作る微生物たち:酵母・カビ・細菌がスゴイ!

食品が発酵に至るメカニズムは、微生物の持つ酵素が食品が元々持っていた成分を分解・合成させ新たな別の成分に変化させることで起こります。17世紀を過ぎ、顕微鏡が開発されるまで発酵の正体である微生物の姿を見ることは出来ませんでしたが、現在では多くの科学者によって次々と新たな微生物が発見され、発酵や醸造にも利用されています。

発酵を行う微生物の事を、総称して「発酵菌」と呼びます。発酵菌には大きく分けて三種類あります。

発酵菌(1) 酵母

酵母は、食品に含まれる糖類を餌とし、アミノ酸、ビタミン類、核酸、などを合成します。酸素が無い場合は、糖類をアルコールと炭酸ガスに分解する働きがあります。酵母の力によって、酸素のあるところでは味噌や醤油、パンが作られ、酸素の無い場合は、ビールやワインなどのアルコール類が作られます。ちなみにパンが膨らむのは、酵母が炭酸ガスを発生させるからです。

パン

酵母によって様々な特徴があり、生産者は作りたいものによって酵母を使い分けています。醤油作りの際にも酵母が使用されるのですが、これは麹菌が食塩濃度が高くなると生存出来なくなるため、麹菌が死滅した後に、アルコール発酵能が高くない、耐塩性がある酵母が醤油作りのため利用されています。

酵母により異なりますが、比較的低い温度で死滅する酵母が多く、60度前後で死滅します。酸性を好み、乳酸菌が作りだしたPH2.0の強酸性でも繁殖する事ができます。酵母にはタンパク質やビタミン類など多くの栄養価が含まれており、最近では酵母への健康効果が注目されています。

発酵菌(2) カビ

カビが持つ酵素には、「タンパク質をアミノ酸に分解する」、「デンプンを糖化する」、「脱水する」という働きがあります。発酵に役立つ代表的なカビは麹カビ。酵素の宝庫と言われ、デンプンをブドウ糖にするアミラーゼ、タンパク質を分解してアミノ酸にするプロアテーゼの力が強く、日本酒・みりん・味噌・酢・醤油などの発酵にかかせません。

他にも、チーズに使われるアオカビ(ペニシリウム)や、鰹節を作るカワキコウジカビなど、様々な食品を発酵させるカビが存在します。

カビは少ない水分量でも生育出来ますが、酸素がないと生育出来ません。また耐熱性が強く、100~135℃であっても数分から数時間の間生き残るカビもいます。

発酵菌(3) 細菌

乳酸菌・納豆菌・酢酸菌などが発酵に有用な、優良発酵細菌族類(EM菌)です。

■乳酸菌

代表的な菌はビフィズス菌やヤクルト菌などがあります。糖類を分解することで乳酸を作ります。乳酸菌による発酵で食品は酸性となり、雑菌の繁殖を防ぐなど殺菌効果があり食品の保存性を高めます。空気がなくても生育しますが、ぬか漬けのように直接触れないけれど毎日混ぜることでたまに酸素が供給されるような環境を好みます。

■納豆菌

稲の穂に多く生息する細菌で、タンパク質を分解し納豆のネバネバや独特の風味を作ります。納豆キナーゼという酵素には血栓溶解作用や血圧降下作用、血流改善作用など様々な健康効果があります。

■酢酸菌

エタノールを酸化させて酢酸を作る細菌で、お酢の生成に使われます。酢酸には疲労回復や、血圧を降下させる作用など様々な健康効果があります。